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  • 青色LED、ここがポイント!


    2014年のノーベル物理学賞が、青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・天野浩・中村修二の3人の日本人教授に贈られました。日本人のノーベル賞受賞は、2012年に京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞で医学生理学賞を受賞して以来2年ぶりで、3人の日本人が同時に受賞するのは2008年以来6年ぶりのことです。


    今年の物理学賞の“受賞理由”には、中学入試の観点から見ても“画期的!”と言える大きな特徴があります。それは、「小学6年生でも容易に理解できるほど簡単である」という点です。例えば、2012年に山中教授が医学生理学賞を受賞したときの受賞理由は、「成熟細胞が初期化され多能性をもつことの発見」というものでした。今でこそiPS細胞という単語は身近になったものの、“iPS細胞とは何か”ということを正確に理解している人はまだまだ少ないのではないでしょうか。

    今回の研究成果について、物理学賞の選考委員は、「3人の発明は“革命的”だった」と評価していますが、長年にわたって中学受験の理科を指導してきた私にとっては、その受賞理由の単純明快さも“革命的”だったと感じています。来春の入試では、ノーベル賞関連の問題を出題する学校は過去最高に達することは想像に難くありません。


    夕焼けの東京ゲートブリッジ

    そこで今回は今年のノーベル物理学賞に関する話題を取り上げるとともに、大胆に入試予想問題を作ってみました(笑)。

    今回はいつもとちがって、今回はお子様がテストとして問題が解けるように、解答・解説だけではなく、問題もPDFにして載せておきます。

    それでは、さっそく問題です。 


    問題  次の文を読んで、あとの問いに答えなさい。


    2014年10月、スウェーデン王立科学アカデミーは2014年の( A )物理学賞を、青色( X )を開発した3人の日本人に贈ると発表しました。3人の功績が( X )の実用化に結び付き、ろうそく(オイルランプ),( B ),( C )に続く“第4世代の光”として、( X )が広く社会に普及する礎(いしずえ)を築いたことが評価されました。

    スウェーデンの偉大な科学者である( A )は、( D )の発明によって得た巨万の富をもとに、「人類のより良い生活につながる発明に賞を与えよ」と言い残して( A )賞を創設した人物です。今回の受賞発表の記者会見の際、選考委員は「今回の3人の功績は( A )の思いにまさにぴったりだ」とたたえました。

    世界の消費電力のおよそ4分の1が照明に使われる中、( X )は地球環境の保護にも役立っています。また、( X )は“世界の最後の( E )億人”の生活の質を高める大きな可能性を秘めていると言われています。


     (1) ( A )にあてはまる人名を答えなさい。

     (2) ( X )にあてはまる言葉をアルファベット3文字で答えなさい。

     (3) ( B ),( C ),( D )にあてはまる言葉をそれぞれ答えなさい。

     (4) 今回の青色( X )の発明は、19世紀に( B )を発明したアメリカ人以来の発明と言わ

      れています。そのアメリカ人とはだれですか。

     (5) 次の文の@〜Bにあてはまる言葉をそれぞれ答えなさい。

      「青色( X )の発明により、人類は初めて〔 @ 〕色の光を出す( X )が作れるようになり

      ました。その( X )は、〔 A 〕器具,テレビ,スマートフォンなどさまざまなものに使われ

      ています。また、音声や情報などを記録するのに使われるCDには波長の長い赤色

      の光が使われていますが、青色( X )の発明により、もっと波長の短い青色の光を

      使って極めて容量の大きな情報を記録する〔 B 〕が実用化されました。」

     (6) 下線部について、次の@〜Bの問いに答えなさい。

      @ 下線部の文から考えて、( X )が地球環境の保護に役立つ理由は「( X )は〔   〕

        から」です。この〔   〕にあてはまる言葉を10字以内で簡単に答えなさい。

      A ( E )にあてはまる数を答えなさい。

      B 下線部の“世界の最後の( E )億人”は、「現在、〔    〕生活を送っている人」

        です。この〔   〕にあてはまる言葉を5字以内で簡単に答えなさい。




    3つの青色LED

    今回のノーベル物理学賞の正式な受賞理由は、「高輝度で省エネルギーの白色光源を可能にした、効率的な青色LEDの開発」となっています。 つまり、“LEDで白色光が使えるようになったこと”だけが受賞理由ではないということです。今回のノーベル賞の最も大きな意義は『LEDが極めて“省エネルギー”である』という点にあるのです。

    膨大なエネルギーを消費する先進国の人々にとって、“省エネルギー”なLEDが開発されたことは、「今までよりはるかに少ないエネルギーで、今まで以上に豊かな生活を送り続けることができる」ということを意味しています。

    一方、発展途上国の人々、とりわけ“最後の15億人”と呼ばれる最貧国の人々(彼らは既存の大規模発電・送電システムがあまりにも高価なために、その恩恵とまったく無縁の生活を送ることを強いられています)にとっては、そういった高コストな発送電システムに頼らなくても、極めて低いコスト(=手回し発電機さえあればよい)で“照明”という最も基本的な電気の恩恵を享受できるようになる、ということを意味しています。青色LEDの開発がさらに進めば、貧困に根ざす数多の地域紛争(テロなど)を減らすことにも繋がるかもしれないのです。

    iPS細胞も青色LEDも分野こそ違いますが、いずれも人類の未来に無限の可能性をもたらすものであり、「人類のより良い生活につながる発明に賞を与えよ」というノーベルの遺志に、これほどかなったものはないでしょう。このような偉業を私たち日本の科学者が成し遂げ続けていることに、きっと子どもたちは大きな誇りを感じることでしょう。


    来春の中学入試では、このような大きな観点から今回の青色LEDのノーベル賞受賞について考えさせる問題が多数出題されると私は予想しています。しかも、理科だけにとどまらず、社会や国語でも出題されることでしょう。保護者の方もこのような視点から今回のノーベル賞の意義をとらえていただき、ぜひお子様といろいろなお話をしていただければと思います。


    最後に少しだけ。

    解説では少しだけ触れましたが、ノーベルはダイナマイトの発明で得た巨額の富にまったく手をつけようとはしなかったと言われています。多くの人々から“死の商人”とまで言われたという話もあります。科学技術そのものには善も悪もありません。それを用いる人間が、その技術の善悪を決めるだけです。


    古くはアルキメデスがいます。彼は「てこの原理」を見つけたことで、深い井戸から楽に水をくみ上げることができるようにしました。その一方で、少ない人力で敵国の大型船を沈没させる装置も作りました。彼は、浮力の原理を発見した際、公衆浴場から素っ裸でお城の王様のところに行ったなどというおもしろおかしいイメージで語られますが、その一方で歴史上初めて科学技術を戦争に用いた人物でもあるのです。

    アインシュタイン

    20世紀には多くの科学者が核技術の開発を推し進めてきました。最初は平和的な利用が目的でしたが、時代の流れとともに兵器開発が主流となり、ついには核爆弾が開発されてしまいました。ラッセル,アインシュタイン,そして湯川秀樹らが反核運動を展開したのは有名です。自分たちが開発に手を貸した核技術がこの世界を破滅に陥れてしまうのではないかという強い危機感から、彼らは行動を起こさずにはいられなかったのでしょう。


    未来を担う子どもたちには、科学技術は技術として正確に理解してほしいと思います。今、理科を学ぶ理由もそこにあると思います。また同時に、その技術を善いことにだけ使う智恵と勇気を持ってもらいたいと思います。中学受験に向けた勉強がそのようなリテラシーを身に着けることの役に少しでも立つなら、これほど嬉しいことはありません。



     

     

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