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    月に関する問題は中学入試にもよく出題されますが、これを苦手をとしている受験生が多い単元でもあります。そこで今回は、月に関する話題をいくつか取り上げてみます。


    冬の満月

    まずは満月です。満月は、“日の入りのころに東の地平線から(のぼ)り、真夜中に南中して、日の出のころに西に(しず)む月”ですね。では、問題です。


    夏至の前後と冬至の前後に見られる満月のうち、南中高度が高いのはどちらですか。


    この問題を“難問”扱いにしている受験本もたくさんあるのですが、実はこの問題には、多くの受験生が理解しなければならない重要な“ある知識”が含まれています。


    皆さんは月が地平線上に出ている時間は「約12時間」だと無意識で覚えていませんか?多くの理科の先生が話を簡単にするために約12時間と教えるのですが、本当はそんな単純な話ではないのです。皆さんは、夏と冬で昼の長さがちがうことは知っていますね。これは小6で習うことですが、6年生でなくても常識として知っているでしょう。また、夏は太陽の出ている時間が長いので、南中高度が高いことも知っていますね。月の動きも同じです。夏至の前後に見られる満月は出ている時間が短いので南中高度は低く、冬至の前後に見られる満月は出ている時間が長いので南中高度も高いというわけです。

    そういうわけで、問題の答えは、「冬至の前後に見られる満月」 となります。


    夜明けの満月

    ところで、中学入試には満月をよんだ俳句や短歌が出題されることがあります。例えば、『菜の花や月は東に日は西に』という蕪村の俳句は、一面の黄色い菜の花畑の中で西に沈む夕陽を見たとき、真後ろの東の地平線から満月が昇るようすをよんだものです。また万葉集の『(ひんがし)の野にかぎろひの立つ見えて かえりみすれば月(かたぶ)きぬ』という和歌は、夜が明け始めて東の空が白むころ、後ろをふり返ると西の地平線に満月が沈もうとしているようすを、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)がよんだものです。どちらも、満月が常に太陽と正反対の方向にあることをよみこんでいるというわけです。



    次は新月です。新月は太陽と同じ方向にあって太陽と“同じように”動くので、地球からは太陽がまぶしすぎて見えません。いま、月と太陽が“同じように”動くと書きましたが、実際には月の方が太陽よりも少しだけ動きがおそいのです。1日とは太陽が南中してから次の日に南中するまでにかかる時間のことで、1日の長さは24時間です。一方、月が南中してから次の日に南中するまでにかかる時間は、平均すると毎日約50分ずつおくれるので、月の南中から次の南中までの時間はおよそ24時間50分となります。これが、月が太陽より少し動きがおそくなる理由です。最初のうちは太陽と同じように動いていた月も毎日少しずつ太陽からおくれていくので、月は少しずつその姿を現すように見えるわけです。



    こんな不思議な動きをする月に、昔の人はさまざまな呼び名をつけて愛でていました。例えば、満月(望月(もちづき),十五夜の月)の翌日に見られる月から順に、十六夜(いざよい)の月,立待(たちまち)月,()待月,寝待月,更待(ふけまち)月……と名前がついています。十六夜の月は日の入りから50分ほどおくれて「ためらいがちに」昇ってきます。また、満月よりもわずかに欠けているので完全に丸くはありません。そのようすを「奥ゆかしさ」と表現するいかにも日本的な感覚から、十六夜の月は「最も美しい月」とされました。残りの4つの月も、月の出を心待ちにすることからつけられた名前です。月の出を()れながら立って待つ「立待月」,立つのに疲れて(正座をして)座って待つ「居待月」,(しびれた)足を投げ出して、(横になって)寝て待つ「寝待月」,夜が更けるまで待たないと出てこない「更待月」といった具合です。

    なお、これは余談ですが、昔の人は大人でもおばけを信じていたので、月明かりがない真っ暗な夜は本気で“怖い”と思っていました。貴族の中には寝室に“おまる”を持ち込んだり、刀などの武器を持った大勢のお供に守られながらしか夜中に便所に行けない人もいたそうです。そのようすを想像したら、ちょっと笑っちゃいますね。



    月の動きはとても複雑そうに見えますが、大事なことは昔の人のように月を身近に感じて、まずは見ることです。さまざまな形に見える月の光っている側には、常に太陽があります。例えば、南の空に見える上弦の月は、右半分が光って見えます。南を向いて上弦の月を正面から見たとき、太陽はちょうど西にしずんだところですから、右手の方にあるはずです。だからこそ、月は右半分だけが照らされて見えるわけです。これと同じように考えれば、日の出のときに南中する下弦の月が、なぜ左半分だけが光って見えるのかわかるはずです。


    2つの半月

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    ここまで、満月,新月,半月(上弦の月・下弦の月)を例に取って説明しましたが、どんな月でも上の図のような“地球から見た月と太陽の位置関係”がわかればすべて理解できます。月が苦手な受験生は、まずはここから考えましょう。特に、時刻は太陽の位置からわかります。夜中に見える月も、地平線下にある太陽の位置を推測すればいいのです。



    地球照

    最後に三日月の話をしましょう。皆さんは三日月の月齢を3だと思いこんでいませんか。三日月を辞書で引くと、「陰暦で三日の夜に出る細い弓形の月。または、その前後の月齢の若い月。」とあります。陰暦とは昔の日本で使われていた(こよみ)で、月の満ち欠けをもとにして決められています。陰暦の一日は新月(月齢0)の日ですから、陰暦の三日に見られる三日月の月齢は“2”となるわけです。「それじゃあ三日月の月齢が3と書いてある本はまちがい?」と思うかもしれませんが、そういうわけでもありません。なぜなら“その前後の”という表現があるように、三日月の月齢にはある程度の幅があるのです。つまり、『三日月には厳密な定義がない』というわけで、三日月の月齢は常に3というわけではないということを頭の片すみに置いておきましょう。

    それでは最後の問題です。


    右上の三日月の写真では、月のかげの部分もうすく光って見えます。このように見えるのはなぜですか。


    このように見えるのは、三日月だけではありません。新月をはさんだ数日間、地平線の下に太陽があり、月が地平線上に出ているときによく見ることができます。これは地球照と呼ばれる現象で、写真さえうまく撮れれば半月などのときにも観察できる現象です。

    つまり答えは、地球で反射した日光が月のかげの部分を照らすから です。


     

     

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