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  • 雲 〜その正体とでき方〜


    山に降る雨

    梅雨に入り、うっとうしい天気が続くようになりました。黒い雲が空をおおい、何日も雨が降り続くのはいやなものですが、農家の人たちにとっては恵みの雨でもあります。しかし、近年の雨の降り方はちょっと異常で、あまりにも多量の雨が一時に降りすぎですね。

    さて今回は、先日のフェーン現象の計算問題を扱った記事の中では触れられなかった雲の正体とそのでき方について説明したいと思います。

    それでは、問題です。


    湯気の立ち上る排気筒

     (1) 雲の正体は何ですか。

     (2) 雲が空にうかんでいられるのはなぜですか。


    (1)は、小4で習う「氷・水・水蒸気」の最も基本問題です。(2)も考える糸口として必要な知識は小4で習うものです。ただし、そうは言ってもこの2問はどちらも即答できない受験生が多くいるのですが、さてあなたはどうでしょうか。


    (1)のヒントは「雲は白く見える」ということです。このヒントだけでピンときたあなたは、とてもよく勉強していると思います。 そうですね。水蒸気は水の気体の状態ですから、無色(とう)明で目に見えません。つまり、“白く見える”雲の正体は、「小さな水(てき)や氷の粒」なのです。低い空にできる雲(雨雲など)は水滴でできた雲ですが、高い空にできる雲(すじ雲など)は氷の粒でできた雲です。また、背の高い入道雲の下の方は水滴の雲ですが、上の方は氷でできた雲です。

    霧吹きの水滴

    (2)のヒントは、「きり吹きでいくら細かい水滴を作っても雲のようにういたりはしない」ということです。つまり、「雲を作っている水や氷の粒はとても小さくて軽いから」ういていられるわけではないのです。どれだけ水や氷の粒が細かくてもまわりの空気より重いに決まってますね。それなのに雲が空にういていられるのは、いったいなぜなのでしょうか。


    (2)の答えは「雲ができるところには上昇気流があるから」です。雲ができるためには、多くの水蒸気を含んだ空気の温度が下がる必要があります。温度が下がると空気中に水蒸気が含めなくなって水滴になって出てきます。フェーン現象の計算問題でも説明した通り、雲の中では湿度が100%になっています。つまり、水蒸気が飽和してできた水滴が雲の正体なのです。空気の温度が下がるためには、空気が上昇しなければなりません。この上昇気流があるから、雲を作っている細かい水や氷の粒は落ちることができなくて、空気中にういているのです。


    なお、空気が上昇するパターンは全部で4つあります。難関校を目指す受験生は、できればこの4つのパターンを覚えておく方がいいでしょう。

    雲のかかる富士山

    1つ目は湿った空気が山にぶつかる場合です。平地では水平にふく風も、山にぶつかると地形にそって上昇し、雲ができます。フェーン現象もこれに関係します。

    2つ目は強い日射によって地面があたためられて、上昇気流が生じる場合です。真夏の夕立や都市の上空で急速に発達する積乱雲によって降るゲリラ豪雨などがこれにあたります。

    ハリケーン

    3つ目は低気圧の中です。低気圧の中には反時計回りの強いうずがあり、中心では上昇気流が生じます。台風の中にできる積乱雲などがこれにあたります。

    4つ目が前線です。寒冷前線,温暖前線,梅雨前線など、温度のちがう2つの空気がぶつかるところで生じる前線では、暖かい空気が冷たい空気の上にくるので、上昇気流が発生して雲が生じるのです。


    最後にもう1つだけ、大事な話をつけ加えておきましょう。

    水が蒸発するとき、液体の水は気化熱をうばって気体の水蒸気に変わります。夏に打ち水をすると涼しくなるのも、この原理を応用した昔からの生活の智恵です。一方、空気中の水蒸気が液体の水にもどる雲の中では、(ぎょう)結熱という熱をまわりへ放出します。この熱量は、水が蒸発するときに吸収した気化熱と同じ量です。


    フェーン現象の問題では、「雲ができずに空気が100m上昇するごとに温度が1℃下がるが、雲ができるときは空気が100m上昇するごとに温度が0.5℃下がる」と書かれています。雲の中では空気が上昇してもあまり温度が下がらないのは、雲の中で水蒸気が水にもどるときに凝結熱を放出するからなのです。


    そして、フェーン現象の問題でも説明したように、山をこえる前は100mにつき0.5℃ずつしか温度が下がらないのに、山をこえたあとは100mにつき1℃ずつ温度が上がることで、フェーン現象では大きな温度差が生じるのです。



     

     

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