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  • 実験に関する計算 ──種子の発芽に関する計算問題──


    〔2016/08/27 記〕

    レベル表示:☆☆★★


     『種子の発芽』と聞けば、ほとんどの方が真っ先に「発芽の3条件に関する対照実験」を思い起こされると思います。しかし、今回のテーマは「種子の発芽に関する計算問題」です。

     発芽しかけた種子は、空気中の酸素を吸収することによって種子にたくわえた栄養分を分解してエネルギーを作り出し、芽や根を伸ばしたり新しい葉を広げたりしています。 これを「種子の呼吸」といいます。呼吸によって分解された栄養分は、二酸化炭素と水(水蒸気)になって放出されます。 このとき、種子の呼吸によって呼吸熱が放出されるので、種子の温度は上がります。

     今回取り扱う計算問題は、種子が呼吸によって吸収する酸素や放出する二酸化炭素の体積を実験から求めるという設定の問題です。


     それでは、さっそく例題1をご紹介いたしましょう。 小学5年生なら5分以内(難関校を目指す方なら3分以内)に全問正解することを目指してください。



    種子の呼吸1

    例題1 図のような装置を使って、発芽して

     いる種子(発芽種子)の呼吸について調べ

     ました。この装置では、目盛りのついた細

     いガラス管に入れたインクの動きでフラス

     コ内の気体の体積変化を測定できます。

     実験中、この装置の温度は一定に保た

     れているものとして、次の問いに答えなさい。

     (1) 次の@,Aの場合にインクの動きで測定できることがらを、あとのア〜エ

      から選び、それぞれ記号で答えなさい。

      @ フラスコ内のガラス容器に何も入れない場合

      A 二酸化炭素をすべて吸収する溶液を入れた場合

       ア.発芽種子の酸素吸収量

       イ.発芽種子の二酸化炭素排出量

       ウ.発芽種子の二酸化炭素排出量と酸素吸収量の和

       エ.発芽種子の二酸化炭素排出量と酸素吸収量の差


      図の装置を使い、同量のエンドウとコムギの発芽種子を用いて、一定時間

     後の呼吸によるインクの移動方向と体積変化を測定し、その結果を表にまと

     めました。移動方向は、測定開始時点を基準として、装置本体へ近づくなら

     左,遠ざかるなら右として示しています。

    種子の呼吸1の表

     (2) 表の結果から、エンドウとコムギが排出した二酸化炭素の量をそれぞれ

      答えなさい。



    〔種子の発芽に関する計算問題〕の問題・解答PDF

                (今回は、例題1と例題2を1つのPDFファイルにまとめてあります。)


     それでは、設問の要点を見ていきましょう。

     (1)は、@の前にAを考えると理解しやすくなります。種子が呼吸をすると、装置内にある酸素が吸収されてインクは左に動くことはすぐにわかるでしょう。 このとき、装置内に「二酸化炭素をすべて吸収する溶液」が入っていれば、種子の呼吸によって放出された二酸化炭素はすべて吸収されるので、装置内の気体の体積が増えることはありません。 つまり、Aでは「呼吸によって吸収される酸素の体積」がわかるのです。

     一方、@のようにガラス容器に何も入れなければ、種子の呼吸によって生じる二酸化炭素が装置内に放出されるのでインクは右へ動くことになります。 このとき、吸収された酸素と放出された二酸化炭素の体積が同じであればインクは最初の位置から動きませんが、放出された二酸化炭素と吸収された酸素の体積が異なればインクは左右どちらかに動くことになるのです。

     (2)は、(1)で考えたことを踏まえた上で考えます。エンドウの場合、呼吸によって二酸化炭素を装置内に放出したあともインクは元の位置よりも左に動いたままなので、酸素の吸収量>二酸化炭素の放出量ということになります。 一方、コムギの場合は、二酸化炭素を装置内に放出したあとのインクは元の位置より右に動いているので、酸素の吸収量<二酸化炭素の放出量ということになります。


     このように、インクの動きを順を追って論理的に考えていくことで実験の結果からわかることを具体的にイメージすることができれば、この問題は決して難しくはないのです。


     さて、種子が呼吸をするときには呼吸熱を出すので種子の温度が上がるということを最初に書きました。例題1では、装置の温度を一定に保たれていましたから、熱の問題は考える必要がありませんでした。そこで例題2では、呼吸熱のことを考えに入れてみましょう。気体の温度が上がれば温度変化に応じて気体の体積は増えていくということは、小学4年生で学びました。それを思い出しながら、例題2を考えてください。 小学5年生なら3分以内(難関校を目指す方なら2分以内)に正解することを目指してください。



    種子の呼吸2

    例題2 図のような装置を作り、発芽

     しかけのダイズの種子を20個入れ

     ました。ピンチコックを閉じてしばらく

     放置したところ、赤インクは0.3cm右

     側に移動し、青インクは6cm左側に

     移動しました。インクを入れたガラス

     管の断面積は1cm2,試験管に入れ

     た空気の体積は10cm3,容器に入

     れたタイズの種子・試験管・20%水酸化カリウム水溶液などを除いた容器の

     内容積は1000cm3でした。20%水酸化カリウム水溶液は容器内で発生した

     二酸化炭素をすべて吸収し、容器は熱を伝えない材質でできているものと

     するとき、1個のダイズの種子が吸収する酸素の体積は何cm3ですか。



    〔種子の発芽に関する計算問題〕の問題・解答PDF

     いかがでしたか? この装置の中に入れた試験管内の空気は、温度の上昇に応じて体積が規則正しく増加します。その割合は、装置内の空気にも同じようにあてはまるのです。このことを使って、温度変化によって増加した装置内の空気の体積がわかれば、種子の呼吸に使われた酸素の体積が計算できるというわけです。


     なお、厳密なことを言えば、例題1でも例題2でも、呼吸によって水蒸気が放出されるので、インクの動きに関わる気体は酸素や二酸化炭素だけではありません。 しかしこのような問題では、原則として水蒸気による体積変化は考えないことが暗黙の了解事項となっていることを付け加えておきます。


    ※ このシリーズの記事は今回で終了です。



     

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