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  • 溶解度の計算問題(発展編)


    さて前回の基本編に引き続き、今回は発展編としてもう少しレベルの高い溶解度の計算問題にトライしていただきましょう。

    前回の問題4でもほう和水溶液の溶解度を扱いました。そのときには、「水100gのときのことを考える」という鉄則を確認しました。今回もこの鉄則をふんだんに利用しましょう。


    問題5 ある物質Xが水にとける最大量は、40℃のときが24g,60℃のときが

       40gです。

     (1) 60℃のほう和水溶液700gにとけている物質Xは何gですか。

     (2) 60℃のほう和水溶液210gの温度を40℃に下げると、何gの物質Xがとけ

      きれなくなって出てきますか。



    (1) 60℃の水100gに物質Xは40gまでとけるので、そのときできる物質Xのほう和水溶液の重さは140gです。ほう和水溶液700gは140gのちょうど5倍なので、とけている物質Xも40gの5倍の200gとなります。

    (2) 水が100gのときのことを考えます。60℃のときに40gとけていた物質Xは、液温が40℃になると24gまでしかとけなくなるので、その差の16gがとけきれなくなって出てきます。

    ここで「最初と最後の差」を考えてみます。最初、60℃の水100gで作ったほう和水溶液

    は140gですが、設問のほう和水溶液の重さは210gですから、ちょうど140gの

    3
    2

    倍です。

    したがって、とけきれなくなって出てくる物質Xの重さも、16g×

    3
    2

    24gとなります。


    ☆ 見やすくまとめた解説は、問題とともにPDFファイルで別掲します。


    試験管













    それでは、ほう和水溶液に関する問題にもう少し取り組んでみましょう。


    問題6 ある物質Xが水にとける最大量は、20℃のときが25g,60℃のときが

       40g,80℃のときが75gとします。

     (1) 物質Xの20℃のほう和水溶液400gの中には、何gの物質Xがとけていま

      すか。

     (2) 物質Xの20℃のほう和水溶液400gのこさは何%ですか。

     (3) 物質Xの60℃のほう和水溶液400gを加熱して25gの水を蒸発させると、

      何gの物質Xがとけきれなくなって出てきますか。

     (4) 物質Xの60℃のほう和水溶液400gの温度を80℃にすると、さらに何gの

      物質Xをとかせるようになりますか。

     (5) 物質Xの80℃のほう和水溶液315gの温度を40℃まで下げたところ、81g

      の物質Xがとけきれなくなって出てきました。このことから、40℃の水100g

      には最大で何gの物質Xをとかすことができますか。


    (1) 20℃の水100gに物質Xは25gまでとけるので、そのときできる物質Xのほう和水溶液

    の重さは125gです。いま、ほう和水溶液は125gの

    16

    倍の400gあるので、そのほう和

    液にとけている物質Xの重さも、25gの

    16

    倍の80gとなります。

    (2) 20℃の水100gあたりには物質Xが25gとけるので、

    25g
    100g+25g

    ×100=20% となり

    ます。

    (3) 蒸発させた60℃の水25gにとけていた物質Xがとけきれなくなって出てきます。60℃の水100gあたりには40gの物質Xがとけるので、水25gには10gとけます。したがって、10gの物質Xが出てきます。

    (4) 最初に水量が100gのときのことを考えます。60℃の水100gに物質Xは40gまでとけるので、ほう和水溶液の重さは140gになります。この液の温度を80℃まで上げると物質Xは75gまでとけるようになるので、さらにとかせる量は75g−40g=35gとなります。いま、

    ほう和水溶液が400gあるので、その重さは140g の

    20

    倍です。したがって、400gの

    水溶液にとかせる物質Xも35gの

    20

    倍の100gとなります。

    (5) 40℃の水100gにとける物質Xの最大の重さを□gとします。また、80℃の水100gに物質Xが75gまでとけたほう和水溶液の重さは175gで、その温度を40℃まで下げるときには(75−□)gの物質Xが出てくることになります。いま、ほう和水溶液の重さは315gで、液温を下げると81gの物質Xが出てくるので、ほう和水溶液の重さは1.8倍です。したがって、81g÷1.8=45gなので、75g−45g=30gとなります。


    ☆ 見やすくまとめた解説は、例題5と同様に問題とともにPDFファイルで別掲します。


    試験管とフラスコ

    さて、例題6について、もう少し深く掘り下げてみましょう。この中で純粋に計算問題と言えるのは、(1),(4),(5)の3問だけです。いずれも、最初に「水100gのときのことを考える」ことから考え始めます。その上で、「最初と最後の差」に着目して計算の元になる“ほう和水溶液の重さと物質Xの量との関係”を導いた上で、設問の条件に合わせて答えを求める、という流れで解き進めていくのです。このような視点から例題の解法を改めて俯瞰してみると、これらの設問が同じような考え方で成り立っていることが理解していただけると思います。


    ところで、例題6の最も重要ポイントは(2)と(3)にあります。例えば、(2)を解くお子様の多く

    は、上に挙げた式では解かず、

    80g
    400g

    ×100=20% と求めるのです。なぜなら、(1)で問わ

    れた80gという重さが水溶液400gにとけている物質Xの重さですから、そのまま濃度の公式に当てはめれば答えが求まるからです。もちろん“この設問では”それでも正解です。しかし、この解法は決して“よい解き方”ではありません。だからこそ、上の解説で異なる式を挙げているのです。

    では、いったいどこがよくないのでしょうか。それを理解していただくために、次のような問題を用意しました。


    問題 物質Xの20℃のほう和水溶液70gのこさは何%ですか。


    この問題では、ほう和水溶液の重さは70gでなくてもかまいません。なぜなら、ほう和水溶液の重さにかかわらず、答えはいつもいっしょだからです。

    この問題を見ると、ほとんどのお子様は水溶液70g中の水(あるいはとけている物質X)の重さを求めようとします。それは、算数でも理科でも濃度計算の問題では「必ずそうするように」と教え込まれているからです。ところが、この問題では水の重さ(物質Xの重さ)は割りきれる数では求まりません。計算力のあるお子様なら分数のまま力(ちから)業(わざ)で計算してしまうのですが、多くのお子様は割り切れなくなった途端に解き方の道筋を見失ってしまうのです。そこで、改めてこの設問の正しい考え方を説明しましょう。

    いま、バケツ1杯の20℃の水に物質Xをとけるだけとかしたほう和水溶液があるとします。その一部をビーカーに取ったとします。当然ながら、バケツに残った水溶液もビーカーに入れた水溶液も同じこさです。つまり、水溶液の重さがわからなくても、すべての

    水溶液は「水100gあたり25gの物質Xがとけている」ので、そのこさは

    25g
    100g+25g

    ×100

    20% となるわけです。

    このように、この設問は最後には計算で答えを求めますが、問題を解く鍵になるポイントは、ほう和水溶液のこさに関する基礎的な“知識”なのです。それと同時に、こさを求める設問では、常に与えられた水溶液に含まれる水の重さ(あるいはとけている物の重さ)を求めないと計算ができないわけではないということも覚えておきましょう。

    (3)も同様です。初めのほう和水溶液の重さ(400g)は計算には無関係です。この設問を解く鍵になるポイントは、「蒸発させた60℃の水25gにとけていた物質Xがとけきれなくなって出てくる」という“知識”なのです。

    青い水滴

    理科に限った話ではありませんが、優れた問題(例題)には必ず意図があります。その意図を正しく受け止めて身に着けることによって、さらなる高いレベルの問題へ挑む礎とすることができます。いたずらに大量の類似パターンの問題ばかりを解く勉強をしなくても、問題を解く力は身に着けることができるのです。





  • 〔溶解度の計算問題(発展編)〕の問題・解答PDF


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