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  • 溶解度の計算問題(基本編)


    溶解度の計算問題は、理科の計算問題の根幹とも言える、最も重要な要素を含むものです。理科計算の根幹というのは“比例計算”です。2量の間に比例関係が成立する最も単純かつ最も頻出する理科計算の黄金パターンと言ってもいいでしょう。その関係は極めてシンプルです。以下に、簡単な例を挙げてみましょう。


    問題1 1個150円のリンゴがあります。

     (1) リンゴを3個買うにはいくら必要ですか。 

     (2) 600円はらうと、リンゴは何個買えますか。

     (3) 800円持ってリンゴを買えるだけ買ったとき、お金はいくら残りますか。


    改めて答えを挙げる必要もないほど平易な問題ですから、すぐに答えは出せますね。

    では、これを溶解度の計算問題に置き換えてみましょう。


    問題2 60℃の水100gには、ほう酸が15gまでとけます。

     (1) 水300gには、何gまでほう酸をとかすことができますか。

     (2) 60gのほう酸をすべてとかすには、60℃の水が少なくとも何g必要ですか。

     (3) 60℃の水500gに80gのほう酸を入れ、とけるだけとかしました。

       何gのほう酸がとけ残りますか。

    錐計

    少し強引ですが、リンゴを水に,お金をほう酸に置き換えただけです。これらの問題は、以下のように解きます。


    (1) 60℃の水 → とけるほう酸

        100g        15g

          ↓×3       ↓×3

        300g        45g


    (2) 60℃の水 → とけるほう酸     (3) 60℃の水 → とけるほう酸   

        100g        15g            100g        15g

          ↓×4       ↓×4           ↓×5       ↓×5

        400g        60g            500g        75g

                               ・80g−75g=5g


    このような考え方は、改めて教えるようなものではありません。問題文を読み取り、2量の関係を明らかにすれば、簡単に解ける問題です。しかし、問題1はスラスラ解けても、問題2になるとそうはいかないお子様もおられます。いったいその違いはどこからくるのでしょうか。

    それは『イメージ』です。リンゴの問題は極めてリアルに状況がイメージできます。自分のお財布には100円玉が8枚入っていること,600円でリンゴが4個買えば、財布には200円残ること,だからリンゴをあともう1個買うと合計5個のリンゴを買うことになり、財布の中には50円だけ残ることまではっきりと想像することが可能なのです。

    ところが問題2になると、そうはいかないお子様が出てきます。問題2がスラスラと解けないお子様は、リンゴの問題のようにリアルなイメージができないのです。では、どうすればいいのでしょうか。そのような状態では、数多くの問題を解くことに大した意味はありません。それよりも“基本的な問題”のイメージを掴むことに専念する方が得策なのです。


    溶解度の計算問題で陥りがちなことに、温度の数字をわり算(かけ算)することです。問題1で注目すべきことはリンゴの個数とお金の2量です。溶解度の計算問題では、水量とほう酸の重さにあたります。つまり、温度が計算式に入りこむなど“絶対にあり得ない”のです。溶解度計算の理解は、このことを理解することから始まるのです。


    では、それをクリアしたとして、基本的な入試問題の2つの例題を紹介しましょう。


    問題3 80℃の水200gに40gのほう酸をとかしたほう酸水があります。このほう

        酸水の温度を60℃に下げると、何gのほう酸がとけきれなくなって出て

        きますか。


    さて、すぐに答えは出せましたか?「80℃の水100gにとけるほう酸の重さが書いてない」という声が聞こえてきそうですが、あえて計算に不必要なので書いていません。この問題の解法のポイントは『最初と最後の差を考える』という点です。問題文には「40gのほう酸をとかした」と書いてあります。つまり、最初は「40gのほう酸がとけている」のです。そのあと水温を60℃に下げるわけですから、最後は「60℃の水200gにとける量」になります。そして、この2つの量の差がとけきれなくなって出てくるほう酸の重さになるわけです。

    その考え方をまとめると、次のようになります。

    ドリンク

       60℃の水 → とけるほう酸   

        100g        15g

          ↓×2       ↓×2

        400g        30g

       ・40g−30g=10g






    お気づきのように、問題2の(3)とまったく同じ形ですね。つまり、問題文の与え方(書き方)をわずかに変えただけで、考えるべき状況はまったく同じなのです。 しかし、すんなりと解けなかったお子様の目には、これら2つの設問は異なる問題に映っているわけです。

    溶解度の計算問題に限らず、お子様が問題を解けない原因が「状況把握ができていない」ということにあることが、きっとおわかりいただけたと思います。溶解度の計算問題の解法をマスターするには、このような書き方の差異に惑わされることなく、題意を正確に読み取る必要があります。その点がしっかりと理解・納得することが目的でない限りは、いくら類題演習を行ってもその効果は限定されてしまうということなのです。


    それでは、基本編の最後の計算問題に移ります。


    問題4 水100gにとける物質Xの重さは、40℃で12g,60℃で24g,80℃で42g

        とします。

     (1) 80℃の水200gに物質Xをとけるだけとかしたあと、液の温度を60℃に

       下げると、何gの物質Xがとけきれなくなって出てきますか。

     (2) 40℃の水87.5gに物質Xをとけるだけとかしたあと、液の温度を60℃に

       上げると、さらに何gの物質Xをとかせるようになりますか。


    この問題4は、一見すると問題3と同様に「最初と最後の差」に着目すれば答えが出せるように思われることでしょう。例えば(1)は、80℃の水50gにとける量は42g×2=84g,60℃の水200gにとける量も24g×2=48gですから、84g−48g=36gとすれば答えは出ます。しかし、同じ考え方で(2)を解くとどうなるでしょうか? 水の量が100gの0.875倍ですから、面倒なかけ算を2度もやらねばならず、非常に効率が悪い解き方であることに気付かれることでしょう。それでは、どのように考え、どのように解けばよいのでしょうか。

    それは『水100gのときのことを考える』という溶解度の計算問題の鉄則に立ち戻り、次のようにして解けばいいのです。


    ガラス器具

    (1) 水  → とけきれずに出てくる量

      100g      42g−24g=18g

        ↓×2           ↓×2

      200g             36g


    (2) 水  → とけきれずに出てくる量

      100g      42g−24g=18g

        ↓×

               ↓×

      87.5g            10.5g


    中堅校までの入試問題なら、問題4でご紹介した解法を使えなくても極端に困る場面は少ないでしょう。しかし、上位校を狙う受験生にとっては解答時間を短縮するために必須の解法です。ぜひ、この機会に練習してみてください。

    なお、今回ご紹介した問題と解答・解説をまとめたプリントを用意いたしましたので、印刷用にお使いください。


  • 〔溶解度の計算問題(基本編)〕の問題・解答PDF


  • ※ 次回も引き続き「溶解度の計算問題(発展編)」を取り上げる予定です。



     

     

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