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  • てこのつりあいの解法


    さまざまな理科の計算問題の中でも、苦手とする生徒が特に多いのが”てこのつりあい”に関する問題です。おもりの数が多かったり、支点が棒の中央になかったり、棒に重さがあったり……。てこの問題には多くのパターンがあって、それぞれの解き方を学ばないといけないという固定観念が、てこの問題をさらに難解に見せています。ところが、てこのつりあいの問題には万能とも言える解法があるのです。今回は、どんなパターンの問題でも、この解き方を使えばきちんと正解が出せる“すごい解法”を紹介しましょう。


    これから紹介する『解法の手順』は、たった5つの手順で構成されています。しかし、1つ1つの手順に習熟するには、少しばかりの練習が必要です。この解法を身に着けるのに膨大な量の問題を解く必要はありませんが、それぞれの手順の意図を正確に理解して、どんな問題でも必ず『解法の手順』を守って解き進めることが何よりも大切になることを決して忘れないでください。それでは、その『解法の手順』を示しましょう。


    いきなり手順だけを見せられてもよくわかりませんね。では、次の例題を『解法の手順』にしたがって解いてみましょう。問題を読んだら〔例題の解答と解説〕も見てください。


    てこ1

    重さ120gで長さが60cmの均質で一様な棒があります。右の図のように、この棒の左はしから10cmのところをばねばかりで支え、80gのおもりを棒の左はしに,40gのおもりを棒の右はしから15cmのところにつり下げ、棒の右はしを指でつまんで水平につりあわせました。

     (1) ばねばかりは何gを示しますか。

     (2) 棒の右はしを指で支えるのに必要な力は何gですか。

     (3) 棒の右はしを指で支えている力の向きは上か下のどちらですか。


  • 〔例題の解答と解説〕

  • 以下は、『解法の手順』を参照しながら〔例題の解答と解説〕に沿ってお読みください。


    @ てこの問題を解くときは、最初に必ず解法図をかきます。解法図は、てこにはたらく力を図示してつりあいの式を立てるためにかくものです。問題の図をそのまま写すのではなく、解説に示したように見やすく整理してかきましょう。『解法の手順』に習熟するには、解法図をかく練習をしっかり行うことが大切です。


    A 解法図では、てこにはたらく力をすべて矢印で書き入れます。棒に重さがある場合は棒の重さを忘れるというミスをしやすいので、最初に棒の重さをかき入れる習慣をつけることが大切です。


    B なぜ棒の右はしにかかる力の向きを適当に定めてよいのだろうか、という疑問を持たれたことでしょう。支点とはてこを支える点です。支点に力を加えても位置が変わらないので、モーメントのつりあいを考えるときは支点に加えた力を無視することができるのです。


    C てこのつりあいを考える上で最も重要なポイント支点の決め方です。つまり、支点さえ決められればてこの問題は確実に解けると言っても過言ではありません。ここで言う支点とは、計算上の支点です。つりあっているてこには“どこを支点に決めてもつりあいは変わらない”という性質があります。この例題の(1)のように、力の大きさを求める問題では大きさのわからない力が必ず2つあるので、一方(棒の右はし)を支点に決めれば、必ずもう一方(ばねばかりで支える力)を求めることができるのです。


    D 解法図を完成させるときの最後のポイントが距離の記入です。モーメントのつりあいの式を立てるには支点からの距離が必要です。解説の図のように、解法図にかくすべての長さは支点からの距離を記入することを強く意識することが大切です。


    (1) 解法図をもとにして、モーメントのつりあいの式を立てます。=の左側に反時計回りのモーメント,右側に時計回りのモーメントをまとめて書きます。

    ここで、『解法の手順』の(5)をご覧ください。モーメントのつりあいの式を計算するときに、多くの生徒はモーメントの値をそのまま筆算で計算します。これは極めて時間のかかる非効率な解き方です。そこで、モーメントのつりあいの式をミスなく短時間で解くために、等式の性質を利用するのです。この方法は慣れるまでに練習をする必要がありますが、ぜひとも身に着けてほしいのです。暗算を使って素早く解くことこそが、短時間で正解にたどりつく秘訣なのです。


    (2),(3) 上のBで触れたように、例題の解説では棒の右はしにかかる力を下向きとして、上下方向の力のつりあいの式を立てています。この式を計算すると、180g=240g+○gとなってしまい、答えを出すには○=−60gとしなければならなくなります。マイナス(負の数)という概念は小学生には難しくとも、「この式は計算できない、180g=240g−60gなら成り立つ」ということは気付くでしょう。このことから、本当は「指は上向きに60gの力で棒を支えている」ことがわかるのです。



    ここで紹介した『解法の手順』を、私は生徒に“作法”として教えてきました。「この解法を厳格に守って問題を解き続けることで、必ず『解法の手順』は身に着く。最初のうちは1つ1つ照らし合わせながら解くので面倒に思うだろう。しかし、いずれは無意識で手順を追えるようになり、気付けば正解にたどりついているだろう。本番の入試ではひらめきが必要な問題も多いが、この解法を身に着ければひらめきはいらない。普段通りにやるだけで必ず正解にいきつける。」と私は言い続けてきました。とても長くなりましたが、これを読んでくださった皆さんにもぜひこの解法を身に着けてもらいたいと願っています。



     

     

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